紫陽花の 藍をとばして 雨あがる
阿部みどり女
花の色の藍(濃い青)がとんで薄い色になった雨あがり
紫陽花の 白とは云えど 移る色
原石鼎
花の色は白だけど、その白色も変化する
紫陽花や はなだにかはる きのふけふ
花の色が縹色(濃い藍色)に変わっていく昨日今日
紫陽花の色の変化を詠んだ俳句は数多くあります。それほど人の心を惹き付ける紫陽花なのですね。
車窓から見た三色?の花のアジサイ
先日の「紫陽花」の記事に、白、青、ピンクの花をつけたアジサイのことを書きました。↑の写真のアジサイです。前夜から雨は降っていて、午後、少し雨がやんだときの写真です。
雨上がりの晴れた日のこのアジサイの記憶としては、もう少し色がはっきりしていたかな?くらい曖昧で定かではありません。
梅雨入り後に車窓から、散歩道で、アジサイを観て考えたことは、
a.アジサイは、雨が降れば青、雨が上がればピンクと簡単には言えない。
b.同じ土でも三色の花はありうる。
c. 条件がかわっても色の変化がないアジサイの花(白、青、ピンクなど)もありそうだ。
d.ピンクや青の花も咲き始めの小さな花の頃は、白い(黄色っぽい)。
e.同じピンク、青でも日々、濃くなったり薄くなったり?しているようだ。同じ紫でも赤が強い紫だったり青が強い紫だったり。気持ちの問題ではなさそう。
ということです。
(そんなことはわかりきったことで常識だとおっしゃる方はスルーをお願いします。)
散歩道のアジサイ
ついでながら、wikiによると、同じ株のアジサイの花であっても花が白、青、ピンクと色がばらつくことがあり、それは吸収されるアルミニウムの量が異なることから起こる現象らしいということです。人間でいえば、血流が良くてアルミニウムが細部まで届き、アントシアニンと化学反応を起こした青い花と、血流が悪くてアルミニウムが細部に届かず、アントシアニンがそのままのピンクの花があるということらしいですね。白い花は元々アントシアニンはないので色は変わらないようです。(あくまでwikiをもとにした推測です。)
散歩道のアジサイ
正岡子規先生の、
紫陽花や 赤に化けたる 雨上がり
という句からアジサイの花の色の変化について、先日、あーだこーだと考えてみました。子規先生は、写実・写生の人ですから、雨上がりにアジサイの花の色が青から赤に変化したことをそのまま詠まれたのだと思います。
きっと、夏目漱石先生の、
落ちざまに 虻を伏したる 椿かな
という句も漱石先生がご覧になられたことをそのまま詠まれたのでしょうね。子規先生と漱石先生は親友同士でしたし、漱石というペンネーム(雅号)も、元々、子規先生のいくつもあったペンネームの一つを貰い受けたものだったそうですし、子規先生の影響は大でしょう。その漱石先生から俳句を教わったのが寺田寅彦先生なのですから寺田先生も漱石先生の句は現実に起こった現象を詠んだ句であることだとわかっていらした上で実験されたのでしょうね。想像ですが。(想像ですよ。)
紫陽花や 囚われ人の 数知れず
てれんぱれん
散歩道のアジサイ
梅雨時、雨の日にアジサイの鮮やかなピンク(赤)、青、紫、白、それぞれのグラデュエーションの花には、だれもが目を奪われることと思います。瑞々しくとても美しいと感じます。