桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿

それってもしかして私のこと?

紫陽花 ①

紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 

           正岡子規

    散歩道のアジサイ

紫陽花を見ると、この子規先生の俳句を思い出します。花の色が変わる様子を詠んだ句ですが、紫陽花の花はそれほど、日々、色が変わるのか?という疑問が湧き、それが心に残っているからです。

 

紫陽花や 赤に化けたる 雨上がり

            正岡子規

本当か?雨が上がると青い紫陽花が赤に本当に変わっているのか?それはなぜか?現実に起こりうる現象なのか?とたくさんの疑問が湧いてきます。 

 

落ちざまに 虻を伏せたる 椿かな

            夏目漱石

これは、夏目漱石先生が、椿の花が落ちるときに下向きに花が落ち虻を閉じ込めたことを詠んだ句です。

椿の花は普通は上向きに落ちるそうです。寺田寅彦先生は、椿の花が落ちて虻を閉じ込めるようなことがありうるかと考えたのですね。それで、実験を重ね椿の花が下向きに伏せて落ちるのは、蜂や虻が花の中にいて芯につかまりながら花が落ちたときだということを実証されたそうです。起こりうる現象であることが証明されたのですね。

     園芸店のアジサイ

紫陽花の色は、土が酸性かアルカリ性かで変わるもの(土が酸性なら花は青で土がアルカリ性なら花はピンク)だと聞きますが、子規先生の上の句ではアルカリ性の雨が降ったのでしょうか?酸性雨は聞いたことがあるけれど、アルカリ性の雨って?子規先生の時代と今の時代を同じようには考えられないとは思います(子規先生の時代には酸性雨はなかったでしょうし、紫陽花の品種も今ほど多くはなかった。)が、子規先生の目に紫陽花の色はどう写っていたのでしょうね?花が少しずつ開いていくだけでも花弁の色はかわりますね。それ以外にも雨により水により肥料により色の変化はあったのでしょうね。

紫陽花を見るたびに子規先生の上の句を思い出し、思い出すたびに疑問が湧き、疑問が湧くたびに寺田寅彦先生と漱石先生の椿の句にまつわる話を思い出すということを、私は脳内で繰り返しています。あ、そうそう、柳田理科雄先生と空想科学読本も頭をかすめます。

 

紫陽花の 色の不思議や 雨が降る

          てれんぱれん  

     園芸店のアジサイ

自然の営みというものは人知を超えているものだなぁとしみじみ感じることがあります。理屈に合わないようで、奇跡のような微妙なバランスで成り立っていて、すごいと感動することが多々あります。

 

今日もまた、雨ですね。台風3号が早く消滅しますように、被害が最小で抑えられますようにと祈ります。

 

追記)

私なりに子規先生の「紫陽花が雨上がりに赤く変わっていた」という現象の説明を試みてみます。

①紫陽花の花の色は、何にもなければアントシアニンのピンク色。

②土が酸性なら花は青、土がアルカリ性なら花はピンク。

③花の色が変わるのは、土の中のアルミニウムと花のアントシアニンが化学反応を起こすため。→ピンクから青になる。

ネット記事からの情報①〜③と、子規先生の句を考え合わせると、

【雨が降っている時】

a.土に水分が溜まっていて、土中のアルミニウムが溶け出し、紫陽花に吸収されて、アントシアニンとアルミニウムが反応して花は青くなる。

【雨が上がったとき】

b.土から水分がぬけ?アルミニウムが紫陽花に吸収されなくなるため、花はアントシアニンのピンクに戻る。(→青い花から赤い花になる)

b'.雨で土中のアルミニウムが溶け出し、紫陽花に吸収されたため、溶け出すアルミニウムが減少し、紫陽花に吸収されなくなった。花は青からピンクに戻る。

 

a.とb.または、a.とb'.から子規先生の紫陽花の句は、起こりうる現象である。

と、いうことでしょうか?

 

ついでに言えば、ネット情報によると、

④白い紫陽花にはアントシアニンがないため、色は変化しない。

⑤品種改良により、色が変化しない紫陽花もある。

c.④と⑤により、同じ鉢に寄せ植えのように植えられた紫陽花の色が白とピンクと青であったとしても、それは起こりうる現象で、不思議なこととはいえない。今日、そういう紫陽花を見ました。同じ土のようでしたが、花は3色(白、ピンク、青)でした。

 

と、いうことでやっと脳内が整理されそうです。それは間違っているとおっしゃる方は、雨上がりに花の色が青から赤に変わる現象についてのお考えを教えていただければ幸いです。↑は私がネット情報だけを組み合せて考えた説ですので、確かなものではありません。