桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿

それってもしかして私のこと?

サラダ記念日

「この味がいいね」と君が言ったから

   七月六日はサラダ記念日

             俵万智

(1987年俵万智歌集『サラダ記念日』収録)

7月7日は七夕で恋人達の記念日なのですが、俵万智さんはその日ではなく、なんでもない日が爽やかな記念日になることを口語体でうたっています。そこが素敵な短歌で、多くの人の共感を呼び爆発的な短歌ブームを生みました。

 

先日、テレビのニュース番組で名古屋は短歌の聖地だという話をしていました。サラダ記念日の俵万智さんの紹介から今人気のまほぴさんの短歌が紹介されていて、短歌の聖地だと名古屋の中華料理店「平和園」さんも。

 

ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし

        まほぴ(岡本真帆)

(2022年岡本真帆歌集『水上バス浅草行き』収録)

まほぴさんも新しい短歌ブームを呼んでいるそうです。俳句や川柳の17文字よりも14文字多い31文字が短歌ですので、文字数からも理解されやすいということはありますが、日常生活の中のあるあるをこんな風に↑さらりとした自然体での表現に共感が集まるのだと思います。

 

それで、私も20代に遡り、一首。本歌取で。本歌はもちろん、「サラダ記念日」。本歌は古典でなければだめ、なんておっしゃらないでね。

 

あなたが似合うと言ったから

  今日の私は耳にマーガレット

           てれんぱれん

 

そして、現代短歌が口語体で日常のあるあるを歌にしていて人気だということで、現代俳句はどうかと見てみると、「俳句は文語体で切れ字があり、、」という俳句の基本からかなりアレンジされてきています。当たり前ですね。芭蕉先生の後、たくさんの俳人により俳句も変化を遂げてきました。以下は2012年、神野紗希さんの句集『光まみれの蜂』に掲載されたものです。

 

起立礼着席 青葉風過ぎた

カンバスの余白 八月十五日

ひきだしに 海を映さぬ サングラス

飛び込みの もう真っ白な 泡の中

            神野紗希

 

それで、何が言いたいのかというと、先日の記事に書いた俳句研究会の「俳句と川柳の違い」の俳句の基本的な型というものはあるのだろうけれど、おおよその枠みたいなものであり、若い人は特にその型を自由にのびやかに変形させる力があり素敵な句をつくっているということです。わずか17文字の中に広がる世界が鮮やかですよね。

俳句も川柳も短歌も若い人達(に限らないけれど)のツイートと相性はよいそうですよ。短文だから。

 

※俳句の聖地は、言わずと知れた愛媛・松山です。正岡子規夏目漱石高浜虚子小林一茶中村草田男、、、どなたも異論のないところでしょう。あ、夏井いつき先生も神野紗希さんも松山のご出身でしたね。

 

※私と短歌との付き合いは、高校3年のときが一番濃いものでした。政経の授業のときにその様子を毎時間短歌にしてノートに書いていました。ノート提出のある教科でしたので短歌を書いたまま提出したら、先生が大変喜んでくださって授業で私の短歌を紹介してくださいました。以来、短歌も俳句も川柳もときどきの私の生活の中にあるものとなりました。

 

※写真と俳句のどちらが先なのか、ブログを振り返ってみると、写真が先の時もあり俳句が先のときもあるのですね。散歩しながらだったり外出時だったり旅先だったりで、ん?と思うような映像は、俳句にも川柳にも短歌にもなりやすいのですね。きっと。「文才はないのかも」などと考えるのは短歌、俳句、川柳以前の問題で、とにかく短歌、俳句、川柳を詠んでみて、詠みながらあれこれを感じたり考えたりが楽しいものだということと、写真については私には技術はほとんどないので、ご覧になる方が癒やされるような美しい写真にできるだけなるように写真を撮りたいということを、今の私は思っています。