亡き母の 紫小紋 暮の秋
家久喜美子
散り敷きて 小紋のごとき 紅葉かな
中川千代
年の瀬に小紋 祖母と母の笑み
てれんぱれん
母の家着の小紋
私は母方の祖母の顔を知りません。私が生まれたときにはすでに他界していたからです。その祖母の着物を母が染め替えた小紋が↑です。昔々のことです。
息子の結婚式で着る黒留袖を準備するついでに和箪笥の着物をチェックしていて見つけました。
母は年の瀬にこの赤い小紋に白い織りの帯を締めて台所でお正月の準備をしていました。若い母が台所で立ち働く姿が甦り懐かしくなりました。写真よりもっとくすんだ赤だけど今の自分には赤すぎます。思い出の母はいつも笑っていてとても元気です。母がいると場がいつも明るくなりました。母はこの小紋をどんな気持ちで着ていたのだろうと考えます。
その小紋を着てみました。
母と祖母に包まれているような気持ちになりました。これを着てお正月の準備をするのは私には無理です。でも、なんとか活かすことはできないかと考えつつ立ち上がったとき、ビリッと音がしました。立ち上がるときに裾を踏んでしまったために布が破れていました。
あーっ、やってしまった!
お祖母ちゃん、お母さん、
ごめんなさい。
。:゚(;´∩`;)゚:。
涙が出てきました。
しかたがありません。諦めて何か(ワンピースやスカート、クッションや座布団カバーなど)にリメイクしようと思いました。
母方の祖母とは言葉も交わしたことはないのだけれど、
「リメイクしたらよいよ、心配しなくてよいよ。」
と言ってくれたような気がしました。
母もそう言ってくれるだろうと思いました。
この小紋を着た写真とリメイク作品の写真も撮って母に見せようと思いました。
しつけがかかったままの他の着物もできるだけ着て写真を撮って母に見せようと思いました。
2023.11.11 7時頃
※この小紋の柄の名前をご存じの方、よかったら教えてください。何柄というのだろうと調べていますがわからないのです。