桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿

それってもしかして私のこと?

新しいとか古いとか

境はどこ 新しいとか 古いとか

          てれんぱれん

    2023.9.17 6:30頃

スマホのケースが壊れ、ケースを探しに行ったときのことです。その電気店スマホケース売り場には、私のスマホに合うケースがありませんでした。そこに、近くにあるdocomoスマホ売場から店員さんが「何かお探しですか?」と。「スマホケースを探しているけれど合うケースが見つからない。」と話しスマホを見せると、「2年前のものですね。スマホが古いから合うケースはもう売っていないのです。スマホを新しくすればよいですよ。」と。

「え?10万以上するスマホなのに、2年で古いと言われ、合うケースがなくなり、スマホを新しくしろ?え?」

結局、その電気店docomoスマホ売り場への不信感がつのり、ネットでケースを購入しました。あるじゃない!

スマホを含め電気製品は毎年のように新製品が発売されているらしく、すぐに古い機種扱いされるのだと思いました。

   母の紬 袖丈46.5センチ

 

ところで、先日きいた言葉に、

「古い着物は袖丈が長く、新しい着物は袖丈が短い。」

というものがありました。

いつからの着物が新しいと言われていて いつまでの着物が古いと言われているのでしょうか?長い袖丈は何センチなのか?短い袖丈は何センチなのでしょうか?

古いも新しいも長いも短いも相対的なものです。古い・新しいの境はどこにあるのか、何センチが長くて何センチが短いのか知りたいと思っても不思議はないでしょう。

と、思いつつ自分が使う着物の、新しい・古いの使い分けについて考えてみました。

私は、自分が着れなくなった自分の着物(若いときの着物、柄や八掛けが若い人向き)や母の着物について「古い」と言っていますが、もしかしたら母の着物は私の着物よりもずっと「新しい」着物なのかもしれません。私の使い分けは、かなりいい加減でその場その場の自分基準の古い・新しいの使い方でした。

誂え着物なら、好みで一般的な長さより袖丈を長く(短く)仕立てる人もいるでしょうし、柄行の都合で長さを決める人もいるでしょうし、身長とのバランスで袖丈を決めることもあるでしょう。 

洋服に流行があるように着物にも流行があり袖丈の長い・短いはその時代の流行なので、「古い着物は…新しい着物は…」ということなのでしょうか?

口紅などで、「秋の新色」などといって販売戦略で新しいものの購買意欲をかりたてるために化粧品会社が流行を作るように、洋服や着物も新しい流行が作られているのかもしれませんね。袖丈等が変わると長襦袢も新しくしなければならないし古いと言われたくない人は袖丈の直しをしたくなるのかもですね。洋服でもミニスカートが流行ったときに長いスカートの丈を短く切った人は多かったでしょうね。

古い着物を仮に昭和の着物だとするとデザイン的にも色的にも材質的にも一目でそれとわかるものもあるのでしょうが、袖丈が長いからといって必ずしも古い着物だとはいえないのでしょう。また、逆も袖丈が短いからといって必ずしも新しい着物だとはいえないのでしょう。

『きもの物語』というサイトによると、現代の着物の一般的な袖丈は一尺三寸(約49センチ)で、大正時代は55〜65センチが多く、昭和初期は袖丈は大正時代のように長かった、とのことです。

新しいとか古いとかということで、私は昭和の着物は古くて袖丈は長いのだろうと勝手に想像していましたが、違っていました。昭和の着物も中期以降は袖丈は短いのが一般的だということですね。着物にも既製品が現れてその着物のサイズが標準ということでしょうか?

というわけで、新しいとか古いとかの基準はものにより人により大きな差があり、言葉だけを聞いて、古い着物か新しい着物かは素人にはなかなか判別が難しそうです。

「新しい・古い」や「短い・長い」の感覚はどうもその言葉を発する人の年齢や経験と深く関わっていて意味するところが様々に違っていそうなので、そういう抽象的、相対的な言葉を聞いたときには、その意味する中身を疑ってかからないと、受け取る意味がまるっきり違っていたということになりかねませんね。

 

ちなみに特選呉服 結城屋さんの袖丈についてのQ&A によると、

全日本きもの研究会

きものQ&A

402.袖丈について

投稿日:2010.11.18 きものQ&A

質問者

  こんにちは。 着付けを習い始めて約1年の50代です。袖丈について教えてください。

 私の着物は30年前に実母が揃えてくれました。 小紋・訪問着・付け下げ等は袖丈が52センチあります。(紬類は49cmです) その後自分で誂えた(付け下げ、留袖)のも長襦袢に合わせ同じく52cmで作りました。(身長は162cm 裄は66cmです)

 着付けの先生から、袖丈を直したほうがよい、と言われています。

「49cmが普通だから、」

と。

「50代でそんなに長いとねぇーー・・・」

と言われます。

 袖丈は身長に関係なく49cmと決まりがあるのですか? 身長の3分の1が基準、礼装は長め・・とも聞いた事があるのですが。 教えてください。

 

ゆうきくん

 きものの袖丈に関するおおよその決まりは、

「晴れ着は長く、普段着は短い」

「若い人は長く、お年の方は短い」

具体的にきものの袖丈をいくらにするかについての決まりはありません。

 きものを計る物差しは「メートル尺」「鯨尺」「曲尺」の三つがあります。それぞれの呉服屋さんでは、そのいずれかを標準としていますが、どの物差しにも対応できるはずです。ちなみに、私の店では鯨尺を標準にしています。

 50代の方の袖丈は、と言えば、晴れ着は1尺4寸、普段着は1尺3寸を標準としています 1尺4寸と言うのはメートル尺で言えば53cm、1尺3寸は49cmです。この基準から言えば、小紋・訪問着・付け下げが52cmと言うのはおかしくありません。49cmでもおかしくはありませんが、私なら52cmを薦めます。

 絶対的な決まりはありませんので、49cmで悪いと言うことではありません。 袖丈についての解答は上記のようですが、ご質問の内容にもっと気になることがあります。

 その着付けの先生が何故52cmの袖丈を49cmに変えるように薦めたのが理解ができません。 50代の訪問着の袖丈が49cmが普通と言うことはありません。現に私共では1尺4寸を薦めています。

 上述したように着物では三つの物差しが使われています。どの物差しを使うかで1~2cm程度の差が出てきます。例えば1尺3寸というのは正確に言えば49.20cm位です。曲尺で言えば1尺6寸3分になります。つまり1尺3寸程度の袖丈にしようと思えば、メートル尺を標準とする店では49cmまたは50cm、曲尺を標準とする店では1尺6寸または1尺6寸5分とするでしょう。したがって「○○が普通」と言うことはないのです……つづく

 

とありました。

知らないことはたくさんありますね。簡単に「着物の袖丈は…」と言えなくなりました。

とここにきて、上述の「古い着物は…新しい着物は…」との言葉をきいたときのたくさんの疑問が解消しました。感謝です!!

 

9/19【追記】参考まで

このようなサイトを見つけました。

着物標準寸法|京都きもの市場