桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿

それってもしかして私のこと?

訃報

昨日、此岸だの彼岸だのと書いたため、訃報に接し戸惑っている私です。

 

昔々、まだ子供の頃、母から聞いた、人が生死の境にいるときのようすです。川幅が広くて浅い、水面がキラキラ金色に光る川をこちら岸からあちら岸に歩いて渡ろうとしているときに、あちら岸にいる人たちがやさしくあたたかく声掛けしてくださるのだそうです。すでに亡くなられた人達、会いたくても会えなかった人達があちら岸にいて、自分が川を渡って来るのをほほえみながら優しい言葉を掛けて迎えてくださっているのだそうです。

生死の境にいる人はその川(三途の川でしょう)を歩きながらこちら岸にいる人達の声も聞き、あちら岸の声も聞こえて川の中ほどであちら岸まで渡り切るかこちら岸に引き返すのかを選ぶのだそうです。

それで、戻ってきたのは母の親族で、生死の境をさまよっていたときの話を母はその人から聞いたのだそうです。

昔々、私の祖父が亡くなったとき、祖父をこちら岸に引き戻す力よりあちら岸へ連れて行く力の方が強かったのだと思いました。

 

訃報に接すると、この、昔々聞いた母の話を思い出し、きっと安心してあちら岸に渡ることを決めた方なのだろうとぼんやり思います。

 

ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。